建物の設計・監理上の欠陥

はじめに

建築基準法上、一定の規模の建築物の工事については、建築士の設計によらなければすることができず、また、建築主は、建築士を工事監理者(工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認する責任を負う者)に定めなければならないと規定しています。

こうした中で、建築物の瑕疵が、建築士の設計に原因がある場合や、建築士が適切な工事監理をしなかったことに原因がある場合があります。 このような場合、建物の建築主や買主が、建物の設計者や監理者に対して、損害賠償請求をすることができる場合があります。

建物の設計者・監理者に対する責任追及

設計・監理契約の債務不履行に基づく損害賠償請求

建築主と建築士との間で設計ないし監理契約が締結されている場合、建築物の瑕疵が設計若しくは監理に起因するのであれば、建築主は、建築士である設計者・監理者に対して、債務不履行に基づき、瑕疵の修理費用等の損害賠償を請求することができます。

設計者の債務不履行が問題になる事例としては、設計者の設計が予算超過の設計である場合、依頼主の要求や注文に沿わない設計である場合、現実の設計が建築基準法等に違反している場合、また、地盤の特質を調査せずに設計を行ったために不同沈下が生じた場合などが考えられます。

また、監理者の債務不履行が問題となる事例としては、施行者の施工ミスを見過ごした場合や、誤った指示・承認により欠陥を招聘した場合等が考えられます。

不法行為に基づく損害賠償請求

建売住宅やマンション等を購入した場合、建物の買主は、建築士との間で設計ないし監理契約を締結していないため、設計者・監理者に対して、契約責任を追及することができません。 しかしながら、建築士の設計・監理上の注意義務は、単に建築主との契約関係において発生する注意義務にとどまらず、建物の安全性のために遵守すべき義務であると考えられます。 したがって、建物を購入した買主は、設計者・監理者の注意義務違反によって建物に瑕疵が生じ、これによって損害を被った場合には、設計者・監理者に対して、不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。 実際に、裁判例等でも買主の設計者・監理者に対する不法行為責任の追及が肯定されています。

名義貸し建築士に対する責任追及

建築工事において、建築士が、実際には、建築主との間で工事監理契約を締結せず、工事監理を行わないにも関わらず、建築確認申請書の工事管理者欄に自己の氏名を記載することを承諾するという「名義貸し」が行われることが、しばしばあります。

こうした場合に、名義を貸した建築士に対して、建築の瑕疵を理由とする損害賠償を請求することが出来るかという点に関しては議論がありましたが、最高裁判所は、「建築士は、その業務を行うにあたり、新築等の建築物を購入しようとする者との関係において、建築士法及び法の上記各規程による規制の潜脱を容易にする行為等、その規制の実効性を失わせるような行為をしてはならない法的義務があるというべきであり、建築士が故意又は過失によりこれに違反する行為をした場合には、その行為により損害を被った建築物の購入者に対し、不法行為にもとづく損害賠償責任を負うものと解するのが相当である。」と判断して、名義貸し建築士に対する不法行為責任の成立を肯定しました。

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