家賃交渉(賃料増額請求)

はじめに

建物の賃貸借契約における家賃(賃料)は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借契約で定められますが、賃貸借契約締結の時点から期間が経過することで、家賃の金額が、租税等の増減や経済情勢の変動により不相当になることや、近隣の賃料相場と比較して不相当になることがあります。
このような場合、借地借家法上、物件の賃貸人が、賃借人に対して、家賃の増額を請求することができるがあります(これを「賃料増額請求」といいます)。

家賃の増額を適切・確実に行うことで、賃貸人の方としては、物件の価値に対して、適正な利回りを確保することが可能となり、資産を有効に活用することが可能となります。

家賃交渉(賃料増額請求)の手続きの流れ

1 賃料増額の意思表示

賃貸人が賃料増額請求を行う場合、まずは、賃借人に対して、賃貸借契約で定められた賃料を相当な金額に増額するという内容を記載した通知書を内容証明郵便で送付します。
実務上、この通知書の送付の際に、賃貸人が考える相当な賃料額(=増額後の賃料額)を通知書に記載するのが一般的です。

通知書発送後、賃借人が任意の交渉に応ずる可能性がある場合には、代理人(弁護士)と賃借人との間で、賃料額の増額について交渉を行います。交渉の結果、賃借人との間で、賃料額の増額について合意できる場合には、賃借人との間で賃料増額の合意書を締結します。

2 賃料増額の民事調停の申立て

賃料増額請求後、賃借人との間での話し合いがまとまらない場合には、法的手続きに移行します。
賃料増額請求の場合、現行法上、いきなり賃借人に訴訟を提起することはできず、まずは、賃料増額の民事調停を申し立てることになります(調停前置主義)。

民事調停では、調停委員会が、当事者双方から、言い分や事案の背景を聞き、賃料相場等についての資料の提出を求め、また、和解提案を行うなどして、自主的な解決を促します。
民事調停における調停委員会は、裁判官1名、調停委員2名で構成され、賃料増額調停の場合、調停委員には不動産鑑定士などの有資格者が選任される傾向にあります。
民事調停において合意がまとまる場合には、調停が成立し、手続きは終了となります。

3 賃料増額訴訟の提起

民事調停で賃借人との合意が成立せずに調停が不成立となった場合、賃料増額訴訟を提起し、裁判所に適正な賃料の算定を求めることになります。
賃料増額訴訟では、原告(賃貸人)と被告(賃借人)が、それぞれ、適正であると考える賃料の金額等について主張・立証を行い、その後、不動産鑑定士による適正賃料額の鑑定を行うのが一般的な手続きの流れとなります。
裁判所は、鑑定士による鑑定結果を資料として、判決で賃料額を決定したり、当事者に和解を提案したりすることで事案の解決を図ります。

訴訟における賃料の算定方法

借地借家法上、賃料増額の要件は、(1)土地もしくは建物に対する租税その他の負担の増大により、(2)土地もしくは建物の価格の上昇その他の経済事情の変動により、又は、(3)近傍同種の建物の賃料に比較して賃料が不相当に低廉になったこととされています。

賃料増額訴訟では、裁判所が、対象となる建物の賃料の適正な賃料を判断することとなりますが、適正な賃料の算定については、裁判所が選任した不動産鑑定士により賃料鑑定が実施されることが一般的であり、裁判所が鑑定結果に依拠して判決を下す傾向にあります。

このように、賃料増額訴訟では、不動産鑑定士による鑑定結果が非常に重要となります。
不動産鑑定士は、国土交通省の定める「不動産鑑定基準」に基づいて不動産鑑定を行います。現在では、同基準で評価手法として定められている差額分配法、利回り法、スライド法、及び賃貸事例比較法の4種の評価方法を併用・総合考慮して適正賃料を鑑定する手法が一般的となっております。

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